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ハリアー 各種用品加工取付

平成29年式 トヨタハリアー(ZSU65)に各種用品の加工取付にて入庫です。

 

各種用品とは、かなり抽象的な表現ではありますが、

今回のオーダーは、いままでの当店における作業の応用を駆使した、

新しい分野ともいえる取付作業ともいえます。

 

その作業依頼内容は多岐にわたりますが、

 

具体的には、

ドアミラー内蔵式ウエルカムランプのLEDバルブ交換、

シフトブーツの新設加工取付、

既存ルームミラーから、純正の眩減ミラーへの交換取付、

既存のセキュリティインジケーターの増設、

ペダルカバー取付、

 

となりましたが、

これらは、いわば現状の自動車の各用品等のグレードアップという意味合いでの、

用品の取付作業となったものです。

 

それでは、具体的に作業の工程を見ていきながら、ご案内していくことにします。

 

 

ハリアーは発売当初から、小型SUVという位置づけのもと、

順調に改良を重ねていき、洗練されたモデルへと進化し続けている、

数少ない自動車の中の1台に感じます。

 

様々な自動車のモデルチェンジ等の進化を眺めていますと、

そのメーカーや開発者らの哲学というべき真髄をみることができます。

 

それは、価値観が多様になった現在において、時代を見据えながらも、

決して迎合することなく、進むべき方向性をはっきりさせ、

先代を大事にしながらも、バランスを保ち、きれいに変わっていくことを感じさせてくれるからです。

 

 

まず最初に、オーダー頂いたひとつに、

シフトブーツの取付があります。

 

もともと設定のないものに、シフトノブとシフトケースの間に

シフトのブーツを装着するということで、

イメージを変えるというものです。

 

その出来栄えは後ほど、ご案内いたします。

 

 

そして、今回使用するシフトブーツ、

皮製の仕上がりになっています。

 

 

こちらの部品は、既存のセキュリティインジケーターの拡張、新設に使用します。

 

 

同じく、既存のセキュリティインジケーターの増設に使用、

メインとなる、部品です。

 

 

防減ミラーは、レクサス等に使用されている部品を流用します。

いわゆる、フレームレスで防減機能を内蔵したものです。

 

 

トヨタ純正のペダルカバー、

すでに、アクセルペダルとブレーキペダルに装着済みで、

今回は踏み込み式のサイドブレーキ(パーキングブレーキ)と

フットレスト用になります。

 

 

ウエルカムランプ内蔵ドアミラー内にある、

ランプの交換用のLEDバルブ。

 

以上の製品はみな、お客様にてご用意頂いたものです。

それぞれの部品はみな、純正部品を流用していますが、

それらを調べ上げ、当店に持ち込んでいただいたものですが、

日頃、そのような部品を取り扱っている当店としては、

なかなか大変な作業だったと思います。

 

 

それでは、取付の開始です。

 

今回は非常に作業点数が多く(まぁ、いつもですが)、

加工作業も多く、思考錯誤しながらのところもあり、

時間がいくつあってもたりないとおもわれますので、

要領よく、作業を進めていかなければなりません。

 

したがって、各項目ごとに、まとめて作業を進めていくことにします。

まずは、加工を要する部品の取り出しと、車両側の配線新設から始めていきます。

 

最初はシフトパネルの分解、取り外しです。

 

 

F側ドアパネルも取り外していきます。

パネル内にインジケーターの埋め込みとあわせて、配線を新設、車両室内側へひいていきます。

 

 

スピーカーも取り外し、ドアゴムジャバラ内を通して、配線を室内側へ。

(写真は助手席側)

 

 

同じように、D席側も作業を進めていきます。

 

 

それぞれ、必要信号の取り出しと、インジケーター用に配線を新設。

ここまでは、一気に作業を進めることができました。

 

 

防減ミラーに必要な信号線として、

IG(イグニション)、リバース、アース等の各種配線は

ナビ裏側から取得、配線を新設し、

ルームミラー側までひいておきます。

 

 

日も暮れてきましたので、

ここからは、取り外した部品の加工作業に入ります。

 

日常業務をこなしながらの作業なので、

どうしても夜なべ作業になってしまいます。

 

ドアミラーの分解は、もう慣れたものですが、

それでも毎回、神経を使う作業のひとつです。

ミラーガラスを取り外していき、すべて分解していきます。

 

 

本当にバラバラに分解していきます。

よくよく考えるに、ウエルカムランプのバルブを交換するだけなのに、

ここまでやらねばなりません。

 

 

装着されているバルブは通常のT10タイプで、

やがて玉切れするはずなのですが、

そのときも、このような作業工程になるはずです。

 

 

ドアミラー本体下側の部分に切り込みが入っていて、

あたかも、ここからバルブが交換できますよ~と、誘っているようですが…

 

 

どうも様子がおかしく、

内側から見てみると、なんと内側からタッピングビスで固定されています。

 

これは、絶対フェイントじゃないですか。

そのまま、下側をこじろうものなら、大変なことになってしまうところです。

 

まぉ往々にして、自動車部品はこのようなケースが多いのですが。

 

 

ドアミラーの様子。

 

ドアミラーに関わる作業の場合、

ここまでの作業になるのです。

 

 

バルブを交換する前に、点灯試験をします。

これは、明るいですね。

 

でも、輸入物であるということに、一抹も不安も…

 

すべて組み付けし、最後に点灯しなくなったらなんて考えると、

こんなにも恐ろしいことはありませんね。

 

 

バルブを交換した様子。

 

 

要所に組み付けしてから、点灯試験を実施。

明るく点灯しています。

 

どうか、いつまでも光っていますように…

 

 

作業全体の様子。

 

だいぶ夜も更けてきたようです。

ドアミラーのバルブ交換にも、メドがついたので、

今日は、もうこれで終わりにします。

 

 

セキュリティインジケーターの点灯試験の様子。

これを、ドアパネルに直接打ち込みしていきます。

 

 

こちらのインジケーターも点灯します。

作動状況は問題なさそうですね。

 

 

いよいよ本格的に作業を開始。

まずは、ドアパネルの上部(ウインドウ外側から見える範囲)のどこに、

インジケーターが取付できるのか、現車とあてがって調べます。

 

設置場所が決まれば、その面に穴あけ加工していきます。

 

 

ドアパネルと車両側ドアと干渉しない位置はここしかありませんでした。

ちょうどドアミラー周辺に位置します。

(電源を入れて点灯させている様子)

 

 

さて、今回のセキュリティインジケーターをどのような条件で点灯させるのかを考えた場合、

既存のセキュリティインジケータから信号を取り出すのは、困難が予想されるため、

別系統にて発光させることにします。

 

作動条件は、キーレス(ドアロックおよびスマートキーにてロック作動時)に、

インジケーターがON、

キーレス等でのアンロックにて、インジケーター点灯解除にします。

 

 

その作動条件を実現するのに必要なモジュールを用意します。

今回はフリップフロップ回路と発振回路の2つを使用することで、

作業を進めていきます。

 

 

眩減ミラーの配線カプラーを用意、

その配線に、先にひいておいた信号を入力していきます。

 

 

単体での作動試験の様子。

 

通電時に起動(IG ON時)、

本体内蔵のセンサーから、周囲の明るさを検出し、

その照度にあわせて、オートでミラー表面が暗くなります。

 

リバース時にその機能は解除されます。

 

 

他の作業はだいたいのメドがたったので、

いよいよ最後のオーダーである、シフトブーツの加工に入ります。

 

 

すべて部品を分解していきます。

ここまでの作業を、毎回やっていると、

だんだん怖いもの知らずになってきます。

(もともと怖いもの知らずなところはありますが…)

 

 

各パーツを見ながら考えます。

ウーム、どうやってブーツを貼付ようかと…

 

 

ここはひとつ、思い切った方法を取ることにします。

 

そうはいっても、接着するだけではありますが、

接着の作業というのは、1発勝負でもあるのです。

シフトブーツやシフトノブの隙間を接着するのは、

それなりの技術が必要に思えますが、

ここでは、皮製品の作成の技術が生かされそうです。

 

ここでは、シフトノブの下側(ブーツに隠れる部分)がメッキ仕様になっているので、

それを削り落として、接着面を確保します。

また、ノブの素材はPPのため、通常の接着剤は使用できません。

 

 

ここで休憩をすることにします。

ここから先は、本当に慎重に作業を進め、

要所要所に1発勝負をしていかなければなりません。

 

これ、大げさではなく、

接着がうまくいかず、はみ出したり、ブーツやノブを汚してしまえば、

その場でゲームオーバーになってしまうのですから。

 

おやつは以前、小樽での仕事の帰り道に立ち寄った、

札樽自動車道の金山パーキングで購入した

「こたつの中のネコクッキー」です。

外観の包装がコタツになっていて、

箱の形状も横からみたら、台形になっているものです。

 

このクッキー、アイディアもさることながら、

とてもおいしいものでした。

 

 

シフトノブとブーツを直接接着し、そのまま固定しておきます。

時間をかけながらの作業で、

この、間が大事なものでもあります。

 

 

シフトノブの頭部分を取り付け、

シートとの接着面を確認します。

どうやら、うまく接着できたようです。

 

 

車両側に仮付けし、シフトのストロークを確認、

ブーツの長さをきめていきます。

 

 

シフトパネルを加工しておいたものに、

ブーツを直接、接着していきます。

 

 

ここら辺は繊細な作業となるもので、

時間をかけて1面ずつ、接着固定しながら

慎重に作業を進めていきます。

 

一通りの面の接着ができましたら、

一晩置いておいて、乾かしておきます。

だいたい接着されてはいるだろうけれども、

確実に仕上げていかなければなりません。

 

 

ブーツをパネルに組み付けし、

車両側へ仮付けし、シフトの可動状況を確認します。

(パーキングの状態)

 

 

ニュートラルの位置にして…

 

 

その下側の手動時の可動状況を確認します。

どうやら、うまくいったようです。

 

もっとも、ここでブーツの長さが足りないとわかっても

処置の施しようがないのでしょうが、多分。

 

なんとか、長い道のりの終わりが見えてきたようです。一安心する瞬間ですね。

 

 

最後にペダルカバーの取付作業に入ります。

まずは、フットレストのカバー取付で、

張り付いているフットレストのシートをはがし、

フロアシートに直接貼付、固定します。

 

あわせてサイドブレーキのカバーも取付していきます。

 

 

完成の様子。

踏み込む部分ですので、がっちり装着できています。

 

 

セキュリティインジケーターのメイン部分は、

コンソール内の空いている部分へ取付します。

 

 

ドア用インジケーターは、前方部分、ドアミラー周辺あたり。

 

 

外側から見た様子。

外側からもはっきりと目視できます。

 

 

助手席側の様子。

 

 

眩減ミラーの設置の様子。

以前とくらべ、かなり印象がかわっていますね。

 

周囲が暗くなれば自動で、ミラー表面が暗くなり、

リバース時はその機能が解除されます。

 

 

ドアミラー内ウエルカムランプの様子。

昼間でも、明るさが確認できます。

 

今回の作業において、時間の限りと他の仕事との兼ね合いから、

なかなかしんどいものがありましたが、作業を行う者としは、

なかなか楽しい仕事に思えます。

 

ありそうでない、わずかな違いの自動車部品の加工取付ですが、

実際作業を行うと、考える部分が非常に多く、

また繊細さが求められる作業でありながら、大胆さも必要です。

 

決まった見本がないところから、まだ完成し得ない部分に、

完成したシーンを想像しながら形を作り上げていく…

 

自動車用品の取付の極みでもありますね。

当店では、確かにお客様の求めているものを具現化することを、

生業のひとつと、とらえていますが、

このような仕事を通して、お客様からいろいろなことを教えてもらうこともたくさんあります。

それは、新しい価値観であり、そういったものをいつまでも大事に考えながら、

また新しいものを作りたいと考えます。