91年式 ダイムラーダブルシックスに、キーレスの取り付けにて入庫です。
初めてお問い合わせいただいて、車名を聞いたときに、すぐにはわからなかったのですが、
調べてみると、ジャガーのお兄さんのような自動車だったのです。
その詳細は、実はよくわからないので、またの機会に譲るとしまして
(また、あるいは今度とお化けには会ったことがないともいいますが)。
こちらがダイムラーダブルシックス、とても大きな自動車です。
年式も今となっては、割と高年式の自動車といえますね。
今回装着する、キーレス。
KKMOON というメーカーなのでしょうか、輸入製品です。
こちらは、アンサーバック用の、ホーン。
キーレスを作動させた際に、キュキュ!と鳴く、あれですよね。
この製品は、LOCK音という製品で、ハリウッド映画に出てくる自動車に装着されている
アンサーバックの音を模しているのだそうです。
さて、ハリウッド映画に出てくる自動車とは、どんな映画でどんな自動車なのでしょうか。
察するに、ワイルドスピードとか、60セカンズといった映画なのでしょうかね、
自動車の映画といえば、マッドマックスしか思いつかないのですが。
ドアロック、アンロック用のアクチュエーターで、コムエンタープライズ社製品は、
当店で用意したものです。
今回装着する、ダブルシックスは、もともとアクチュエーターは装着されているのですが、
作動が弱ようで、たまにロックやアンロック時に、作動しきれない場合があるとのことで、
すべて入替えすることになりました。
そして、運転席側の取付の際に、多少の問題があったのですが、
それは、後ほどご案内いたします。
あわせて、ハンドルの交換にて、交換用ハンドルとボスもご用意いただきました。
さっそく取付の開始です。
今回は作業点数がかなり多いので、駆け足でいかなければなりませんね。
まずは、助手席側ドアからはじめていきます。
内張りを取り外していき、古いアクチュエーターを取り外していきます。
デッドニングが施されていましたが、それらも一旦撤去していきます。
国産の自動車にはない、独自の設計の下、パワーウインドウが設置されていました。
作業を行なうためのサービスホールは、左下側のホールと上側の小さなホールの
2箇所から実施しなくてはなりません。
本来なら、パワーウインドウモーターも取り外しての作業が望ましいのですが、
構造的に取り外すのは、いろいろと問題がありそうなので、
そこは触らずに作業を進めることにします。
取り外した純正のアクチュエーターが左側、
右の青いアクチュエーターがこれから装着するもの。
取付用のステーやロッドのサイズや寸法は、
もちろん違いますので、少し工夫が必要です。
アクチュエーターのサイズは問題なさそうです。
あとは、固定方法と、ロッドの長さを決めていけば、なんとかなりそうです。
純正ステーに、取付用の穴を開けて固定、その上にガラス繊維アルミテープにて、補強していきます。
配線カプラーも形状が違うため、
配線をつなぎ替えて、純正用カプラーに接続していきます。
ドアに設置の様子。
なんとか、無事収まりましたね。
このような作業をドア4枚分、実施していくわけです(写真はリア左ドア)。
このあとは、ひたすらがんばっていかねばなりません。
話は少しとんでしまいますが、運転席側のアクチュエーター交換では、
多少、問題がありました。
運転席側に装着されているアクチュエーターは、実はアクチュエーターではなく、
ドアロックアンロック用の接点(スイッチ)だったのです。
外観上は同じ形状のものでしたが、配線カプラが、4極になっています。
他のアクチュエーターは2極で、ロック、アンロック時に交互にプラス、マイナスの極性を反転させているだけの仕組みに対して、運転席側では、そのような仕様にはなっていませんでした。
直接、電源系統を調べてみるも、常時プラスが1本だけ、
ロック、アンロックの作動時に、その電源を流しているようです。
つまり、もともとキーレス仕様ではなく、あくまで、集中ドアロックでの機能しかないもののようです。
運転席側のロック、アンロックレバーを動かすことで、機械的にロックアンロックし、
それを検知して、ほかのドアのアクチュエーターに信号を送っているだけなので、
運転席側のロックアンロックは、自動でされていません。
ということは、このアクチュエータの形状をした接点と一緒にアクチュエーターを
平行に装着するよりないわけです。
そして、出来上がったのが、写真の様です。
キーレス作動時に、機械的に接点も動かして、
他のドアのアクチュエーターも作動させるようにしていくわけですね。
ドアロックまわりの作業が終わったところ、次はハンドルの交換です。
まずは、純正ハンドルを取り外していきます。
写真中央の白い六角のものが、ホーンの接点になっています。
右側へ伸びる(ハンドルの軸の穴に入っていっている)シャフトが、左右の金属部分に触れると、
アースに落ちることで、ホーン回路が出来上がり、ホーンが鳴る仕組みになっているのですが、
これも、このままでは、ハンドルを交換することが出来ません。
接点の形状や位置、接点の隙間寸法がそれぞれ違うため、
設置の仕方によっては、ホーンがならなかったり、鳴りっぱなしになってしまいますので、
ここも、少し工夫が必要のようです。
純正ハンドルのホーン接点部分。
こちらは、接点がひとつだけで、中央に設置されています。
こちらは、交換用ハンドルのホーン接点。
中央と少しそれた部分に2個、接点があります。
このままでは、そのまま取付することができません。
交換するハンドルの接点を使おうとする場合、
配線を延長して、アースポイントを1箇所、新設して、
それぞれの接点につないでいかなければなりませんが、スペース上の問題もあって、
かなりシビアな調整をほどこさなければならないようです。
とりあえず、アースポイントは、ハンドルボスに直接固定することにします。
ボスに1箇所、穴を開けて、延長分のハーネスを先に固定しておきます。
延長したハーネスの先に、接続用のギボシを新設し、
ホーン部分の端子に接続できれば、なんとかなるのですが、
ここの取付の隙間が、かなりシビアなため、何度もハンドルを取り付け、取り外し、
隙間の調整を行ないます。
合わせて、ハンドルの中心点を決めるため、
実走しながら、位置決めを行ないます。
この作業で、かなりの時間を有します。
なんとか、ハンドルの中心点と、ホーン接点の調整が整いました。
あとは、ホーン接点を固定するだけです。
さて、ここで、追加作業が1点あります。
ラジオの電源を入れていなくても、キーオン時、アンテナが作動してしまい、
点検をすることになりました。
通常の動作ならば、キーオン(IG ON)、またはACCの状態でも、
ラジオがオフになっていれば、アンテナは、作動しないはずなのですが、
どのような仕組みで、そうなってしまうのでしょうか。
思いつくことは、オートアンテナ端子にACCが入力されているとしか考えられないのです。
実際の配線の接続状況を確認してみたところ、
正規の接続(オートアンテナ端子はACCに接続になっていない)、
オーディオからのオートアンテナ出力と、車両側のオートアンテナ入力での接続になっています。
接続上では、問題ないので、オーディオ本体の設定上の問題なのか、
マニュアルを取寄せて確認してみます。
あわせて、メーカーにも確認したところ、オーディオ電源がはいったら、ラジオの有無に関わらず、
オートアンテナ端子に、電源が上がってくるということのようです。
ちょっと珍しい仕様だと思いながらも、お客様に説明し、
ラジオは使わないから、配線を取り外してもいいとのことで、
配線をはずし、作業は完了となりました。
無事、ハンドルも設置できました。
ハンドルを交換すると、なかなかかっこいいですね。
作業も結構、大変だったので、やったかいがありました。
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