フォグランプオーバーホールにて、部品単体での入庫です。
フォグランプの鏡面部がサビてしまい、なんとかならないだろうかとご相談を頂いたもので、
新しい製品に取り替えるにしても、3個セットでの販売で、左右セットで購入すると、
かなり高額になるとのことでした。
レンズを取り外すことが出来れば、あとは何とかなるだろうと、
とりあえず、ご依頼を受けることに。
鏡面が汚れているのは、左3個のASSY(ひとつの塊の部品の総称、アッセンブリをASSYといいます)の左側と、右側3個ASSYの右側のランプです。
鏡面部分が茶色になっています。
サビということでしたが、これはアルミケースの地肌がでてきているもので、
鏡面塗装がはがれてしまったようです。
受けてしまった以上、なんとかしなくてはいけません。
とりあえずは、ブラケットから取り外してみることにします。
ここでは、スクリューボルトで、フォグランプの光軸を調整しているため、
固定部分までの長さを測っておきます。
組み付けの際に、同じようにしなければなりません。
HIDのバーナーや取り付け金具も、取り外していきます。
フォグケースのみの様子。
レンズとケースの接合は、コーキング処理をしているため、暖めて取り外せるものでもありません。
うーむ、さて、どのようにして、レンズを取り外しましょうかね。
いろいろと、思考錯誤してみましたが、やはり簡単に取り外せるものではないようです。
うかつに手をだせば、取り返しができません。
ここは、慎重にかつ、大胆にいくしか方法はありません。
熟慮の結果、レンズの差込部の長さを考慮した上で、
そのギリギリ部分を削り落とすことにします。
そうすれば、コーキングをはがしやすくなるはずです。
フォグケースを削り落としている様子。
だんだん、後に戻れなくなってしまいました。
ここまでやってしまったら、必ず結果をださねばなりません。
なんとか、レンズ部分をかわして、ケースの淵だけを削り落とす事が出来ました。
あとは、コーキングを隔離し、レンズ部分を分離させていきます。
なんとか無事、レンズを取り外すことが出来ました。
ここまでくれば、もうこっちのものの気分ではありますが、
まだ、この先は前途多難でもあるのです…
1個めがうまくいったので、気をよくして、2個目の作業に入ります。
いやいややりながらも、やっているうちに、だんだん夢中になってくるものです。
切断面をヤスリがけして、できるだけ面を均等にしていきます。
さて、どのように光沢を取り戻すか思案のところ、
メッキ処理をしようと、外注先に相談したところ、
納期がかかってしまうようで、メッキ加工は出来ません。
今回はあまり時間もないため、アルミケースそのものを磨いていくことにします。
写真は、ブラスト処理を施したもの。
左側が処理前、右側が処理後の様子。
ブラスト処理で、アルミ面を出せましたが、光沢がありませんので、
さらに磨いていかなければなりません。
右側がブラスト処理のみの様子。
左側が、リューターで、大まかに磨き上げた様子。
それなりに光沢が出てきましたが、相当根気よく、磨き上げなければ
きれいにはなりません。
ここからは、本格的に磨き上げていきます。
メタルコンパウンドを使用して、磨いていきます。
事務処理をこなしながらの、夜なべ作業です。
だんだんと光沢感が出てきました。
あともう少しです。
同時進行で、ガラスレンズもコンパウンドで磨いていきます。
一通り磨き終わったあとは、クリアー塗装を施して、コーテイングしていきます。
これで、光沢をだすのと同時に、腐食防止のためです。
これで、簡単に腐食は起きません。
なんとか、形になって来ました。
それでは、レンズをもとに戻していくことにしましょうか。
ようやく終わりが見えてきて、少し安心なところです。
少し画像がぶれてしまいましたが、コーキング処理にて接合します。
もとのブラケットに組み付けて、作業の完了です。
かなりきれいになりましたね。
これだけの鏡面光沢があれば、光の反射にも問題ありません。
たまには、こんな仕事もあり、それは当店の風景の一部でもありますが、
なかなか大変な作業でもあります。
このような作業は、時間をかけて、コツコツやらなければなりませんが、
とりあえずやってみるのが当店の特徴のひとつです。
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