平成14年式 トヨタヴィッツ(NCP15)にエアコンの真空引きガスチャージにて入庫です。
まだ初夏のところ、最近では北海道でも気温が高く、天気のいい日が続いています。
そうなると、電装屋さんは、エアコン関連の仕事が増えてくるのですが、
当店も例に漏れず、エアコンの真空引きガスチャージのご依頼を頂きました。
具体的には、エアコンの冷えが悪く、真空引きガスチャージをしたいとのご要望だったのですが、
実際、現車点検をしたところ、確かに冷えが悪く、エアコンガスが少なくなっているようでした。
そのエアコンガスの確認の方法は後に説明するとしまして、
ガスが少なくなっているのなら、どこからか漏れている可能性があります。
現車確認上、簡易的に目視点検を実施するも、特に漏れは確認できませんでした。
通常、このようなケースの場合、ガスを補充して、様子を見るのが王道ですが、
お客様に詳しく伺うと、譲り受けた自動車で、夏場での今シーズンは初めてとのこと。
今までの状態(去年のシーズンまでエアコンが冷えていたか、メンテナンス等の状態)がわからないため、
一旦、真空引きからはじめて、エアコンサイクル内の水分やエアを抜いて、
新しいガスを補充し、冷えの状態を確認してから、今後様子をみるとのことで、
作業を進めることとなったものです。
この自動車も、今となっては、なかなかの高年式となってきましたが、
決して程度はわるいものではありませんでした。
ちょっとしたメンテナンスや修理で、長く走り続けてくれるのなら、
いつまでも大事にしていただきたいですね。
真空引きを実施、約15分ほど真空ポンプを動かします。
エアコンゲージの様子。
右側の赤いのが、高圧ゲージで
左側の青いのが、低圧ゲージです。
真空引きを行なっているとき、または真空引きが完了したあとに見るべきところは、
低圧側ゲージの0点より下に下がっていて、その状態がしばらく保持しているかどうかです。
(画像では、低圧側ゲージの0が大気圧を示し、それより右側、緑色に表記されている部分に針が示していれば、真空の状態を保持していることになり、エアコンサイクル内に大きな漏れがないことがわかります)
エアコンのガスチャージの様子。
実に、アナログ的な光景ではありませんか。
ゲージにガス缶を1本づつつなげて、ガスを入れていくのですから。
ディーラーや大手の電装屋さん、ガソリンスタンドでは、
フルオート式のエアコンガスチャージの機械で、ガス入れを行なっているはずですが、
レトロな感覚で仕事をすることをモットーとする当店では、すべてが手動式であります。
苦し紛れに言うわけではありませんが、
実際のところ、手動でガス入れを行なうことで、同時に他のエアコン部分を点検、確認しながらできますし、
人間が持っている五感を駆使することで、確かな技術をいつまでも保持する事ができるはずです。
ガスを入れ終わり、エンジン始動、エアコンONにて、冷えの確認をします。
ここでも、アナログ的に、低圧パイプ(青いエアコンチャックが付いているところ)
を触って、直接冷えを確認します。
かなり冷っこくなっています。
このとき、エンジン回転数は約2000rpmほどに上げて、高圧側の圧力を高めておきます。
エアコンサイクル内のガス圧を上げることで、本来の状態が確認できます。
※低圧パイプのそばに、細いパイプ(高圧)がありますが、
これはかなりの高温のため、
触ればやけどをしてしまいます。
低圧パイプでも、たまに白くなった霜付きの状態になる場合があり、その外気温や湿度等の
条件によっては、むやみに触ると、手がパイプにくっついて、離れなくなることもあるので、
決して、触らないようにしてください。
また、エアコンのガスに直接触れてしまうと、低温やけどになってしまいます。
自動車エアコンの点検は、予備知識がないと、非常に危険ですので、
ここでは、エアコンの点検、修理等の実際として、ご覧ください。
すべての自動車にいえることではありませんが、高圧側パイプ部分に
冷媒を目視できる覗き窓があります。
サイトグラスといいますが、正常の場合なら、無色透明(漏れ確認用の蛍光剤が注入されている場合は黄色)ですが、少なくなっている状態なら、白い気泡が確認できます。
(画像では、赤い高圧チャックの右側の丸い窓がサイトグラス)
冷っこい風が吹き出していますのが見えますか。
快調に冷風が吹き出しています。
ガス漏れを起こしているのなら、今後、どのくらいまで冷っこい風がでるのか様子をみてみることにして、
作業の完了です。
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