平成22年式 トヨタヴェルファイヤ(ANH25)にナビの交換取付にて入庫です。
カーナビの取付は、電装用品の中でも、もっともポピュラーな用品ではありますが、
すでに装着されている用品との互換性を考慮しなければいけないケースが増えてきたようにおもいます。
具体的には、バックカメラやフロントカメラ、Rモニターにステアリングリモコン、ETC等が、
ナビに接続されているケースがあります。
そして、それらは、純正、社外の違いの他、社外用品でも、専用のカプラーを用いて、
接続されているために、メイン部分を交換したら、接続ができないということがおこりえるのです。
純正ナビから社外ナビへ交換する場合は、メインユニットを交換することで、
周辺パーツ(バックカメラやフロントカメラ、純正Rモニター等)との接続の互換性や、
純正機能の制限等を考慮しなければなりませんし、
また、もともと社外ナビが装着されている場合でも、
周辺するパーツが、同じメーカーだった場合、周辺パーツはそのまま使用するのなら、
メインユニットへの接続が専用なのか汎用なのかの確認が必須となるわけです。
その他、ナビのモニターのサイズが変わる場合は、
それにあった車種別のパネルを用意しなければなりません。
非常にややこしい話ではありますが、自動車の部品の互換性は必ずあることで、
そこを見極めるのが、最初の第一歩となります。
それでは、いつものように作業風景を見ながら、
具体的に説明していくことにします。
ヴェルファイヤは、兄弟のアルファードとともに、
風格漂う、ミニバンです。
今回のオーダーは、エクリプス社製のバックカメラが装着済み、
こちらを、交換するナビへ接続し、引き続き、使用できるようにするものです。
もうひとつのオーダーは、Rモニターも使用できるようにすることです。
モニターはアルパイン社製のものが装着されています。
取付するカーナビは、ケンウッド社製のMDV-S706L、8インチモニターです。
既存のカーナビはエクリプス社製のAVN770HD、7インチモニターです。
まずは、モニターのサイズが変わる(大きくなる)ので、
それに合った、パネルに交換する必要があり、
車種によっては、対応パネルがないものもあるので、
適合するパネルの有無を確認します。
大体は社外用品メーカー等で、車種別の製品を供給してくれているのですが、
場合によっては、純正部品を使用することもあります。
バックカメラはエクリプス社製のもので、型番等が不明の状態です。
私の記憶が確かならば~(料理の鉄人の鹿賀丈史の口調で)、
エクリプスのカメラは専用のカプラ(4ピン)だったと記憶していますが、
なにぶん、型番がわからないため、他の予備知識が必要でした。
通常、社外製品の場合、音声や映像の入出力はRCAピンカプラ(赤白黄色の)を使用していることが
おおいのですが、その中には、同じメーカー同士での互換しかない専用カプラであることもあり、
最近の製品を見ていると、それが顕著になってきているようです。
そして、予備知識とは、エクリプスは一時期において、汎用(RCA)を使っていたという記憶であり、
それならばいいのですが、専用カプラだった場合は、別に変換するものが必要なわけです。
そこで、記憶をはっきりさせるために、メーカーへカメラのRCAの使用時期を確認したところ、
2013年以前は4ピンカプラのみであり、2013年以降はRCAとの併用であることがわかりました。
ただし、2013年以前でも、じつはRCAが使われていた時期があり、その期間は2004~2005年。
お客様にいつの時点でバックカメラを取付したのか、記憶を呼び覚ましていただいたところ、
平成22年の新車の当時に取付したとのこと。
平成22年は2010年で、2005年ものでない限りは、4ピンの専用カプラであることがわかりました。
新車に新品のカメラを取り付けたのなら、きっとその生産された年代のものだろう(5年落ちの製品ではない)との推測から、変換カプラが必要であるとの結論になり、
写真にある製品( 時風プレイス社製 変換ケーブル JP-CA14BS )を調べて、用意したものです。
つまり、バックカメラ(専用4ピンカプラ)→JP-CA14BS(4ピンカプラ入力、RCA出力)→ナビ
と変換していかなければならないということですが、
じつはもうひとつ、変換しなければならないところがあったのです。
それが、上記にある、RCA→ケンウッド専用バックカメラ入力のための、接続カプラ です。
ケンウッドも、エクリプスと同じく、専用のバックカメラ入力を前提とした、専用カプラだったので、
それをRCAに変換するわけです。
なにやらややこしい話になってきましたね、
まとめてみますと、
エクリプス純正バックカメラ(専用4ピンカプラ)→JP-CA14BS(4ピンカプラ入力、RCA出力)
→RCA入力からケンウッド用カプラへ変換→ケンウッドナビ
となるということです。
実際にケンウッドのナビの背面を見てみますと、
R.CAM と記載のあるベージュの4ピンカプラの差込口があることがわかります。
つまり、このようにしたかったのです。
これで、エクリプスのバックカメラが、ケンウッドのナビにつなげることができるわけなのです。
そして、もうひとつのRモニターの接続はシンプルであり、
Rモニター ~ ケンウッドナビ 間では、ともにRCA入出力だったので、
そのまま接続すればいいのです。
さて、問い合わせがあったときや、見積もりの際には、
現物なしで、ここまで推測して、必要部品の有無とその金額を算出するのですが、
万一、あてがはずれた場合のことにおびえ、耐えながら、 こんなんでましたと、
お客様に、お見積もりを提示するわけです。
長々と、釈迦に説法でありながらも、能書をたれてしまいましたが、
ここから、気を取り直して、取付の開始です。
まずは、なにはなくともパネルの取り外しからはじめなくてはなりませんので、
周辺にマスキング用のテープを貼っていきます。
やはりというか、まさかというか、
ナビやオーディオを取り外すと、これでもかと配線達が飛び出してきます。
このタイミングで、すでに軽いめまいを起こすわけです。
取り外すナビ用の配線や、必要のない配線、または配線の修正をしながら、
丁重にほぐしていきます。
フロントウインドウにも張り巡らされた、既存のアンテナを取り外していきます。
車両側から、ナビの取り外しにメドがついたので、
新しく取付するナビの配線を準備していきます。
必要と思われる、カメラやRモニター等の電源の取り出しと、アースをまとめていきます。
先に、お話したエクリプスのバックカメラの4ピンカプラ。
これを、一旦RCAに変換してから、
ケンウッド専用カプラへ変換するのです。
JP-CA14BSへ取り込んでから、RCA出力となります。
このユニットには、別途、電源線が必要となります。
一通りの接続が完了、ナビ本体を車両側へ設置の瞬間です。
おもむろに、作動点検を実施、無事、当店の所在地が表示されていますね。
Rモニターでは、TVの画面が表示されています。
問題なさそうです。
バックカメラも、無事作動確認ができました。
こちらもグー!グー!
最後に、パネルの変換を行ないます、
左側が既存のパネルで、右側が8インチ用のパネル。
車両側パネルの裏側から装着しておきます。
完成の図。
空調機器の上側にあった、小物入れポケットがなくなり、
その分、モニターの面積に占有されています。
やはり、8インチは大きく見えますね。
取付の苦労のかいがあるというものです。
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