平成19年式(2007)ホンダクロスロード(RT3)のエアコンが冷えないとのことで入庫しました。
エアコンスイッチをONにすると電動ファンは回りますが、コンプレッサのマグネットクラッチが作動していません。
車種により、エアコンのマグネットクラッチと並列に電動ファンが接続されている場合と、
それぞれ独立してリレーを介している場合と2通りがありますが、この自動車は後者の回路になっています。
エアコンの作動点検としては、まずエアコンガスが入っているかどうかによって点検項目が変わってきますので、
エアコンのゲージをつなげてから点検の開始となります。
この自動車もSUVとしてはなかなかの個性が目をひきますね。
さて、先にエアコンゲージをつないでガスの点検をすると申し上げましたが、
実際のところ、規定の量が入っているかどうかは正確にはわかりません。
もちろん、ゲージによる圧力にて知ることはできますが、
それだけではやはり正確な状況が確認できないことが多く、
サイトグラス(エアコンガスののぞき窓)により目視確認と、
エアコンパイプの低圧側の冷え具合、高圧パイプの熱さを直接手で触る等、
要所要所にて判断をしていきます。
今回のケースではガスが入っているものの、ガスの圧力がいまいち不安定であることから、
一度ガスを回収してから、真空引きガスチャージをして正規量を充填することにします。
真空引き後にガスチャージをしてからエアコンを作動されるとコンプレッサのマグネットクラッチが、気持ちよく「カチン!」と
音をたて、エアコンが冷えてきたことを確認できました。
作動状況を確認するため、しばらくの間そのままにしておいたところ、エアコン(コンプレッサ)が止まっているではありませんか。
これはおかしいと、マグネットクラッチの系統の配線を確認、クラッチリレーも点検のところ、
リレー接点が開いたままのようです。(画像内、緑色のリレーの左下側)
直結にて作動確認のところ、やはり気持ちよく「カチン!」と音をたててコンプレッサは動き始めます。
今回の不具合としては、エアコンの充填不足による圧力の低下と、マグネットクラッチリレーの不良という複合したものでしたが、
偶然にも、一つの不具合の解消の後にすぐもう一つの不具合が現れることで、明確な原因がつかめたのですが、
このようなことは実はまれであり、結果またエアコンが冷えなくなったと戻ってくることがおおいのです。
そのような意味でも、今回はすっきりしたケースであります。
エアコンの不具合は多岐にわたり、その状況とタイミングにより難易度が変わってきますので注意が必要です。
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